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企業法務

1 紛争予防法務

 個人間でもそうですが、企業においても紛争や不祥事を未然に防ぐことが社会的信用の確保はもちろんのこと、時間、労力、費用等コストの点でも効率的です。

 (1) 契約書の作成・審査

 契約書の作成・審査にあたっては、まず、当該契約が対象とする業務において、通常生じやすい紛争形態を把握することが大切です。そのうえで、紛争を未然に防止できるような契約書にすべく、契約条項の作成、ないしは審査を行います。

 (2) 相手方の債務不履行に備え、債権の回収不能を最小限にするための
   事前対策

@ 相手方の信用・資力調査

 商業登記簿を調べ、本店所在地や支店所在地に建物の不動産登記簿を調査し、自社ビルかどうか、もし自社ビルであれば担保設定状況、被担保債権の残債状況等を調査します。
 また、商業登記簿により代表取締役の住所地の不動産を調査して、持ち家で担保が設定されていなければ、代表取締役を保証人とすることが有効です。
 費用はかかりますが、信用調査会社への依頼も有効な選択肢の一つです。

A 契約について

 a.期限の利益喪失約款、b.連帯保証契約の締結、c.執行認諾約款付公正証書の作成、d.担保余力のある不動産に対する抵当権の設定
 消費貸借契約や債務弁済契約を締結する場合は、相手方の債務不履行に備えて、上記a〜dを債務者に承諾させることができればかなり効果的です。

 (3) 労務管理

@ 近年、残業代の請求が増加しています

 正当な残業代については、法令にもとづいて支払わねばなりません。
 しかし、効率よく仕事をすれば減らせる残業もあるのが通常です。
 そこで、管理職の方が、従業員に残業をさせずに、ないしは少ない残業時間で、効率よく仕事を終了させるマネジメントが必要です。

A パワハラ、セクハラについて

 日ごろから、管理職を含めた労働者に対して、就業規則及びその他職場における服務規律等を定めた文書並びに社内パンフレットにおいて、禁止される旨の方針を規定し、内容と併せて、労働者に周知、啓発することが必要です。

B 労働者の心の健康

 悩みを抱える労働者が業務に係る事件を起こしてしまうと会社のイメージダウンや信用低下となり、売上高にも影響しかねません。会社内で上司と部下がコミュニケーションをはかれる環境を整え、労働者の会社に対する不満を察知しその原因を軽減をすることが事件発生の予防として必要です。

 労務管理面の紛争予防としては、顧問弁護士の立場で担当管理職に対し、以上の観点から予防策注意を喚起させて頂きます。

C 株主総会

 中小企業でも、少数株主が存在する場合は、少数株主権を利用して経営に揺さぶりをかけられて、円滑な企業経営ができなくなる事態が見受けられます。かかる事態を回避するためには、適法な株主総会の開催などできるだけ会社法にのっとった会社の運営が必要です。



2 紛争処理法務

 事前に紛争予防対策を講じていても、相手方の置かれた状況や社会状況の変化により債務不履行や契約を巡る予期せぬ紛争が生じることがあります。

 (1) 債務不履行による損害賠償請求

 この場合は、事実関係、証拠、関連法令、判例を検討して、和解するか、裁判で争うかを当事者である企業が置かれた状況を考慮しながら迅速に決定する必要があります。

 (2) 債権回収

 相手方から債務の履行がない場合は、まずは内容証明郵便を出しますが、債務者が全く応じない場合は、提訴して、債務名義を取得してから強制執行します。予め、債務者の財産を保全しておかなければ、強制執行をしても債権回収ができないおそれが高い場合は、仮差押、仮処分等保全命令を申し立てたうえで提訴します。
 事前に強制執行認諾約款付公正証書を作成していた場合は、提訴して判決を取得しなくても迅速に強制執行ができます。
 また、抵当権を事前に設定している場合は、抵当権を実行し、裁判所に競売を申し立てて競売代金から債権を回収できます。しかし、競売を申し立てると、売却代金が時価の6〜7割となることが多いので、債務者との合意のもとに、任意に売却して売却代金から回収する方が、回収額及び回収にかかる費用、時間の点で債権者に有利です。

 (3) 債務整理

 不幸にも会社の財務が窮地に陥った場合は、企業の置かれた取引状況、財務状況を迅速かつ的確に判断して、任意整理、民事再生等による企業の再建と破産のいずれを選択するかを決定し、迅速に対応しなければなりません。



3 顧問弁護士の効用

 紛争を未然に防止するためには弁護士と顧問契約を締結し、日頃から企業の実態を弁護士に知らせ、弁護士に予防策を講じさせることが有効です。
 また、不幸にも紛争や問題が生じてしまった場合も、迅速かつ的確な処理を可能にするために、弁護士と顧問契約を締結して、日頃から弁護士が企業の実態を把握できるようにしておくことが有効です。